IFRSの有給休暇の引当にハマッタ

まだ先とはいうものの、そろそろ情報を入れておきたかった内容。Twitterでつぶやいたら、いろいろ思ってもいなかったことが分って来ました。世にでている話も当たっていたり外れていたりで、これから決まる部分も多そう。専門外なのですが、気付きを含めてまずは備忘。

どんなものか?

有給休暇は、取得されると会社にとっては、労働の対価が無く給与がでるもので、尚且つ、過去の勤務から権利付与される性質を持っています。このことから、その期末残については、引当すべきでしょ。というのが理屈だと捉えています。引当とは、将来の債務について、予め、会計上でお金を積んでおく(損金にしておく)ということだと考えれば良いと思います。今まで出なかった損金がでるので、人事部としては神経を尖らせることになります。一般的に言われている算出式は以下の通り。
引当額算出方法=有給休暇の残日数×過去の消化率×日給
ここで出てくる。『過去の消化率』というのが曲者だと思っています。これは、有給休暇の消化率を指す様ですが(詳細は不明)、過去の例から消化される分だけ引き当てたらよい。ということになるのだと思います。ただし、別な説では、退職間近には、100%消化する例が増えているので、消化率は、100% として計算するべきという考え方もあって、流動的な部分です。

消化率が企業の有給消化の姿勢を決めてしまう。

ただし、この消化率をどうとらえるのかで、企業のとりくみが変わってきてしまいます。単純化して考えてみただけですが、消化率を実態の消化率を用いて引当金を計算するなら、消化率0%のときに0円、消化率100%のときにも(残数が0日となり)0円となり、消化率50%のときに最大となるマイナスの二次曲線を描くようになります。こうなると、企業としての対応は二極化し、50%より低い企業なら、より低い消化率を志向し、50%を超えている企業なら、より高い消化率を志向します。世間で言われている「有給の引当に備えて、計画的な有給消化を。。。」という論調は、そのまま受け取れないということにもなると思っています。
yukyu_hikiate.jpg

有給休暇は、労働者の権利で企業に取得増進の義務なし。

有給休暇は、労働者の当然の権利です。企業側には時期変更権はあっても、拒否権はありません。そのため、企業が有給休暇取得に消極的な姿勢を採っているだけでは、『有給休暇を取らないのは、労働者が自主的に取らないだけ』ということになり、労働局、労基署も指導をしにくい性質のものです。
加えて、日本の企業は、有給休暇を消化するということについては、全体としてマイナスイメージがあり、消化率は50%程度だと言われています。そうなると、今後一層、有給消化に対しては消極的な姿勢を採り、できるだけ消化率を下げたいと思う企業が多く出てくる可能性もあると思っています。(もちろん、逆の姿勢をとる企業もでてくると思います。)

仕組みが思わぬ行動を生んでしまう良くない例になる

IFRSは、欧米を中心とした会計基準の標準化の動きなのでしょうが、有給休暇の取得率が元々高い欧米では、なるべく消化率を上げて引当を抑える動き一辺倒なのかもしれませんが、どうも日本の実態とは合わない感じがします。有給引当の基準適用が引き金となり、財務的な意味だけで、有給取得増進の動きにブレーキを掛けることも不適切です。加えて、消化率を実態の消化率を用いるのか、100%として計算をするのかによって、財務的インパクトを抑える施策が180度違う可能性があるにも関わらず、その肝心な部分が流動的であるというのは、やりたい施策そのものを保留にさせてしまうことにも繋がるのではないかと思ってしまいます。
参考にしました
http://business.nikkeibp.co.jp/article/pba/20080522/158587/
http://blog.goo.ne.jp/dancing-ufo/e/6e6c837151a6aa2287fb5d45c7b7873e
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/topics/258341/
http://jinjibu.jp/GuestDctnr/dtl/242/
  • 実際の消費率を用いた場合の最大の引当額は、総有給残日数の25%程度になるということか? -- felix 2010-04-30 (金) 17:48:02
  • 毎年、消化率が安定的であれば、引当金は入れ代わる部分が多いだろう。短期的な業績操作に使われる可能性あるか? -- felix 2010-04-30 (金) 17:49:04
  • 初年度の費用負担が最も大きくなるので、適用年度を見計らう必要ありか? -- felix 2010-05-01 (土) 09:17:40
  • いつ付与された有給を消化するかの選択権は会社にあると聞いたことがある。なるべく新しい方から取得させるのようなこともでてくる? -- felix 2010-05-05 (水) 12:21:29
  • いつ付与された有給を消化するかの選択権は会社にあると聞いたことがある。なるべく新しい方から取得させるのようなこともでてくる? -- felix 2010-05-05 (水) 12:21:38
  • これまでの権利で、翌期に発生する有給も本来的には引当対象になりそうだが、現時点ではそこまでは求められないだろうとのこと。まずは、期末残に標準を合わせて置けばよいかな。 -- felix 2010-05-30 (日) 15:36:57
  • ここで紹介した内容をふくむ記事を -- felix 2012-04-15 (日) 12:43:05
  • ここで紹介した内容を含む記事を に寄稿させていただきました。 -- felix 2012-04-15 (日) 12:43:51